フィリピンにおけるサトウキビ栽培成功事例

Sugar Cane in Philippinesフィリピンは砂糖生産国の一つであり、主としてネグロス島、ルソン島、パナイ島、並びにミンダナオ島で栽培が行われています。近年、フィリピン政府は2006年にバイオ燃料法(または共和法9367)を通し、フィリピンにおけるエタノール投資家の為に一定の市場を形成し、エタノール燃料の生産という新たな産業の発展のための道を拓きました。サトウキビは、エタノール生産の重要な原材料として期待されています。サトウキビからエタノールを商業生産できる事は、国の燃料資源を多様化し、エネルギー政策を安定化させます。

 

 

 

現状では、サトウキビ農家のサトウキビ原料茎の平均収量はわずか65t/haであり、このサトウキビを原材料として使用してトン当たり70ℓ、つまり4,550/ha/年のエタノールしか生み出す能力がありません。この生産効率は、潜在収量120150t/haを達成しているブラジルと比較すると、とても低いものと言わざるを得ません。インド、南アフリカ、その他地域では、サトウキビ栽培に点滴潅水または点滴施肥潅水を用いています。このように生産性を向上出来れば、単位面積当たりのサトウキビ生産性を高め、高収量を維持するだけでなく、バイオエタノール精製所へ安価に安定供給できる事と、砂糖の国内需要を満たす事の両立が実現できます。食品産業とエネルギー産業の両方で、水と肥料という貴重な資源を使用するに際し、世界市場で競争に打ち勝てる解決策が必要とされています。

 

背景

食用と工業用の両用作物である事

気候変動や干ばつに影響される

肥料代と人件費の高騰

過剰な灌漑水による肥料分の流亡と溶脱

水及び肥料の利用効率の低さ

単位面積当たりサトウキビ収量の低さ

バイオ燃料政策の後押し

 

なぜ点滴潅水が必要なのか?

サトウキビの、砂糖と燃料エタノールの需要確保と雇用創出を兼ね備える経済的重要性

潅水量を減らし、水と肥料の利用効率を向上させる為

サトウキビ原料茎収量の最大にする為

 

砂糖製造工場名

サン・カルロス・バイオエナジー社

 

農場の詳細

所在地:サン・カルロス・バイオエナジー社、フィリピン西ネグロス州サンカルロス市パランガス地区(北緯9°30’0” 東経122°40’0”)ハシエンダ・バスク

面積:7.2ヘクタール

栽培品種:88-39, 84524, 87599

栽植方法:畝間1.5m、株間0.15m

栽植本数:ヘクタール当り3芽茎節50,000

収穫本数:製粉可能な原料茎でヘクタール当り130,000

栽培時期:2007328日、43日植付

 

気候:熱帯雨林気候、冬は乾季、無霜

最高気温:32.9

最低気温:24.2

蒸気圧平均:29hPa

平均風速:3.7km/

降雨量:2608mm/年、有効雨量:1278mm/

基準作物蒸発散量:1478mm/

水分有効利用指数:1.76

その他気象関係指標:日長:12時間;日照時間:6.0時間

 

土壌物理的特性:粘土質土壌

土壌pH6.6

かさ密度:1.3g/c

地下水位:地下6m

土壌の化学的特性:窒素N0.05%)、加里K0.4ミリ等量/100土壌)、石灰Ca39.0ミリ等量/100土壌)、ナトリウムNa0.5ミリ等量/100土壌)

土壌塩類濃度(ECe):0.45dS/m

 

水源:用水

動力源:ディーゼルポンプ

 

解決策:何をなしえたか?

地中点滴潅水システム(SDI

養液調製ユニット、メインパイプ、サブメインパイプ、16mm径ドリップネットPC点滴潅水チューブ(ドリッパー間隔0.5mピッチ、吐出量1.0/時)を1.5m間隔で敷設

各栽培畝に点滴潅水チューブを1本とし、地下0.3mの位置に埋設設置

点滴潅水システム設置年:2007

 

栽培指導及び技術指導

作物潅水要求量と潅水スケジュールの決定:潅水頻度、潅水量(水の浸達する深さ);水質の考慮、潅水量の測定

 

施肥潅水スケジュールの決定:土壌及び水質調査、施肥量の算出、肥料の選定(複数候補)、点滴潅水を利用しての施肥技術の指導、葉面を見ての養分欠乏及び過剰症の診断

 

システムの運用と保守点検:水圧のチェック、バルブのオペレーション、潅水量の測定、フィルターの洗浄、肥料原液タンク、pH(酸)処理、塩素消毒法、等

 

能力開発トレーニングの実施:土壌・水・作物の関係、点滴潅水と点滴施肥潅水の原理、利点、欠点、有用性;水質について、除草剤を用いた除草方法の解説

 

結果

収量の改善:慣行のスプリンクラーによる頭上潅水では70.0t/haであったのに対し、地中点滴潅水による栽培では90%増の133.5t/haの収量を得た

 

品質の向上:慣行のスプリンクラーによる頭上潅水法に比べ、蔗糖含量が5.2%増加

 

潅水必要量と削減量:慣行のスプリンクラーによる頭上潅水では13,000/ha1,300mm/ha)であったのに対し、地中点滴潅水による栽培では3,000/ha300mm/ha)であった

センターピボット式頭上スプリンクラー灌漑に対し、点滴潅水では70%の水削減効果があり、その削減量は年間で10,000/haとなった

上記の削減効果により、同じ水量でさらに3.3ha分の潅水が実現できる

 

経済的指標:スプリンクラーによる頭上潅水に比べ、地中点滴潅水による栽培ではより高い純収益が得られた(919米ドル/ha

 

その他の利点:燃料費の削減、節間の長さが均等になる、茎が太くなる、肥料利用効率が良くなる、管理に融通がきく、雑草の生育が抑えられる、傾斜や凹凸のある圃場でも均一な潅水が行える

 

効果

フィリピンのサトウキビ栽培において、点滴潅水技術は環境的にも経済的にも有用性があることが証明されました。

サトウキビ栽培の為の貴重な水資源を持続可能的に有効に利用する事は、製糖工場の近隣でサトウキビ栽培圃場面積の拡大を可能にします。

増収と蔗糖含量の増加といった品質の向上、食の安全、収益の増加を生産者にもたらします。

サトウキビ農家及びバイオエタノール精製工場らは、進んで点滴潅水を導入する圃場面積を拡大してくれました。2008年中には、約217haのサトウキビ圃場に地中点滴潅水設備が導入されました。

サトウキビのベストマネジメントプラクティス:施肥潅水を組み込んだ地中点滴潅水(SDI)による事

 

増収効果90%の収量

削減効果  水使用量を70%削減

Site by NGSoft.
Remember my preferences